「突然、会社都合で退職することになった…」
「来月の生活費、どうしよう…」
「失業保険とか退職金とか、もらえるお金のことが何もわからない…」
予期せぬ退職は、誰にとっても大きな不安を伴います。特に、日々の生活に直結する「お金」の問題は、精神的にも重くのしかかりますよね。
でも、安心してください。会社都合での退職は、自己都合退職に比べて、金銭面で手厚いセーフティネットが用意されています。
この記事では、そんなあなたの不安を解消するため、会社都合退職でもらえるお金の種類から、具体的な金額、複雑な手続きまで、専門家が徹底的に解説します。この記事を読み終える頃には、「いつ、何を、いくらもらえて、どうすればいいのか」が全てクリアになっているはずです。
この記事でわかる、もらえるお金リスト
- 【最重要】失業保険
- まとまった資産になる、退職金
- 負担が激減する、国民健康保険料の減免
- 退職後の税金の仕組み
さらに、この記事だけの特別なコンテンツとして、あなたがもらえる失業保険の概算がわかる「自動計算シミュレーター」と、手続きの抜け漏れを防ぐ「手続きTODOチェックリスト」もご用意しました。
もう一人で悩む必要はありません。正しい知識を身につけ、あなたの権利を最大限に活用し、安心して次のステップに進む準備を始めましょう。
【最重要】失業保険はいつから、いくらもらえる?
退職後の生活を支える最も重要な柱、それが「失業保険(雇用保険の基本手当)」です。会社都合退職の場合、この失業保険が自己都合退職に比べて圧倒的に有利に設計されています。まずはその違いから見ていきましょう。
自己都合との違いは?会社都合が圧倒的に有利な理由
会社都合退職者が「特定受給資格者」と呼ばれるのに対し、自己都合退職者は「一般受給資格者」と区分され、主に2つの点で大きな差が生まれます。
① 給付制限期間:もらい始めるまでのスピードが違う!
- 会社都合(特定受給資格者): 待期期間7日間が経過すれば、すぐに給付が開始されます。
- 自己都合(一般受給資格者): 待期期間7日間に加え、原則2ヶ月間の給付制限があります。
つまり、会社都合なら退職後すぐに生活の支えを得られますが、自己都合だと2ヶ月以上も無収入の期間ができてしまうのです。この差は非常に大きいと言えるでしょう。
② 給付日数:もらえる期間と総額が違う!
失業保険がもらえる期間(所定給付日数)も、会社都合の方が長く設定されています。
被保険者期間 | 会社都合(特定受給資格者) | 自己都合(一般受給資格者) |
---|---|---|
1年未満 | 90日 | – |
1年以上5年未満 | 90日~180日 | 90日 |
5年以上10年未満 | 120日~240日 | 90日 |
10年以上20年未満 | 180日~270日 | 120日 |
20年以上 | 210日~330日 | 150日 |
(※給付日数は年齢によっても細分化されます)
勤続年数が長いほど、その差は歴然です。例えば勤続20年の40歳の場合、自己都合なら150日ですが、会社都合なら最大330日と、2倍以上の期間、給付を受けられる可能性があります。
あなたの失業保険、概算いくら?
「じゃあ、具体的に私はいくらもらえるの?」
そんな疑問にお答えするため、ここだけの失業保険・自動計算シミュレーターをご用意しました。ご自身の状況に近いモデルケースで、受給額の目安を掴んでみましょう。
【失業保険・自動計算シミュレーター(モデルケース)】
以下のモデル情報を入力したと仮定して、計算してみましょう。
- 年齢: 40歳
- 退職前の月収(額面): 30万円
- 勤続年数: 15年
▼ STEP 1:賃金日額を計算
退職前6ヶ月の給与合計 ÷ 180日
(30万円 × 6ヶ月) ÷ 180日 = 10,000円
▼ STEP 2:基本手当日額を計算
賃金日額 × 給付率(50~80%)
※給付率は賃金日額と年齢で決まります。40歳で賃金日額10,000円の場合、給付率は約50%です。
10,000円 × 50% = 5,000円
▼ STEP 3:給付総額を計算
基本手当日額 × 所定給付日数
※40歳・勤続15年の会社都合退職の場合、給付日数は270日です。
5,000円 × 270日 = 1,350,000円
【計算結果】
- 1日あたりにもらえる金額(基本手当日額):約 5,000円
- もらえる総額(概算):約 135万円
いかがでしたか?あくまで概算ですが、具体的な金額が見えると、少し安心できたのではないでしょうか。ご自身の給与明細などを見ながら計算してみてください。
手続き完全ガイド|必要書類とハローワークでの流れ
受給額がわかったら、次は手続きです。複雑そうに見えますが、順番通りに進めれば大丈夫です。
【STEP 0:必要書類を準備する】
まず、以下の書類を会社から受け取るか、自分で用意します。
- 雇用保険被保険者離職票(1・2) ← 最重要!会社から交付
- 雇用保険被保険者証
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- マイナンバー確認書類
- 証明写真(2枚)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
【STEP 1:ハローワークで求職の申込み】
お住まいの地域を管轄するハローワークへ行き、「求職の申込み」を行い、離職票を提出します。
【STEP 2:雇用保険説明会に参加】
後日指定される日時に、雇用保険制度に関する説明会に参加します。ここで「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡されます。
【STEP 3:失業の認定】
原則として4週間に1度、ハローワークへ行き、失業状態にあることの「認定」を受けます。この際に、求職活動の実績(原則2回以上)が必要となります。
【STEP 4:受給】
失業認定日から通常5営業日ほどで、指定した口座に失業保険が振り込まれます。以降、所定給付日数がなくなるまで「STEP 3」と「STEP 4」を繰り返します。
最近では、マイナポータルを利用したオンラインでの手続きも可能になってきています。詳しくは管轄のハローワークにご確認ください。
退職金はもらえる?相場と確認方法
失業保険と並んで気になるのが、まとまった資産となる「退職金」です。しかし、これは誰もが必ずもらえるわけではありません。
まずは就業規則をチェック!退職金の支払い義務とは
意外に思われるかもしれませんが、退職金の支払いは、法律で義務付けられているものではありません。
退職金が支払われるのは、会社の「就業規則」や「労働契約」に、退職金の支給に関する定めがある場合のみです。まずは、自社の就業規則に退職金規定があるかどうかを確認することが第一歩となります。
就業規則は、通常、社員がいつでも閲覧できる場所に保管されているはずです。もし見当たらない場合は、人事部や総務部に確認してみましょう。
会社都合と自己都合でいくら違う?勤続年数別の相場データ
就業規則に定めがある場合、一般的に会社都合退職は自己都合退職よりも退職金が割増される傾向にあります。
厚生労働省の調査によると、大学卒・勤続20年のモデルケースでは、自己都合が約761万円なのに対し、会社都合では約1,021万円と、実に260万円もの差が生まれています。
以下は、勤続年数別の退職金の平均相場(大学卒)です。ご自身の状況と照らし合わせてみてください。
勤続年数 | 会社都合退職の平均額 | 自己都合退職の平均額 |
---|---|---|
5年 | 約100万円 | 約60万円 |
10年 | 約300万円 | 約180万円 |
15年 | 約585万円 | 約400万円 |
20年 | 約1,021万円 | 約761万円 |
25年 | 約1,487万円 | 約1,200万円 |
(出典:厚生労働省、東京都産業労働局のデータを基に作成)
もちろん、これはあくまで平均データであり、企業規模や業種によって大きく異なります。しかし、会社都合退職が金銭的に大きな意味を持つことは、お分かりいただけるでしょう。
意外と知らない!健康保険・税金の減免と支払い
最後に見落としがちなのが、健康保険や税金の問題です。ここでも、会社都合退職者には大きなメリットが用意されています。
国民健康保険料が7割減!?減免制度の申請方法
退職すると、多くの人は会社の健康保険(社会保険)から、市区町村が運営する「国民健康保険」に切り替えます。この国民健康保険料は前年の所得を基に計算されるため、退職して収入がなくなった人には大きな負担となります。
しかし、会社都合で退職した「特定受給資格者」は、この保険料が大幅に軽減される制度があるのです。
この制度では、保険料を計算する際に、あなたの前年の給与所得を「100分の30」、つまり3割として扱ってくれます。例えば、前年の給与所得が500万円だった場合、150万円として計算してくれるため、保険料が約7割も軽減されるケースもあります。
【重要】この制度は自動的には適用されません!
必ず、お住まいの市区町村の役所で自分自身で申請する必要があります。申請には「雇用保険受給資格者証」が必要なので、ハローワークでの手続きが終わったら、すぐに役所へ行きましょう。申請を忘れると、本来払わなくてよかったはずの高い保険料を払い続けることになってしまいます。
住民税や所得税はどうなる?退職後の税金の話
退職後に「こんなはずじゃなかった!」となりがちなのが税金です。
まず「住民税」ですが、これは前年の1月~12月の所得に対して課税されます。つまり、あなたが退職して収入がなくなったとしても、翌年の5月~6月頃に、前年の所得に基づいた住民税の納付書が届きます。あらかじめ、まとまったお金を準備しておく必要があることを覚えておきましょう。
一方、「所得税」は、その年の所得に対してかかる税金です。退職金にも所得税はかかりますが、「退職所得控除」という非常に大きな控除があるため、税負担はかなり軽くなるように設計されています。通常は、退職金が支払われる際に会社側で源泉徴収されるため、自分で確定申告する必要はほとんどありません。
まとめ:手続きを制する者が、退職後の生活を制する
会社都合退職は、精神的には辛い経験かもしれません。しかし、金銭面では、自己都合退職よりもはるかに手厚いサポートが用意されています。
今回解説した「もらえるお金」と、それを得るための「手続き」を、ここで改めて整理しましょう。
そのために、「手続きTODOチェックリスト」をご用意しました。これを参考に、一つずつ着実にこなしていけば、あなたの権利を最大限に活用できます。
【会社都合退職後・お金の手続きTODOチェックリスト】
▼ 退職直後~
- [ ] 会社から「離職票」「雇用保険被保険者証」などを受け取る
- [ ] 年金手帳、預金通帳、証明写真などを準備する
▼ ハローワーク関連
- [ ] お住まいの管轄のハローワークへ行き「求職の申込み」と「離職票の提出」を行う
- [ ] 指定された日時の「雇用保険説明会」に参加する
- [ ] 4週間に1度、ハローワークで「失業認定」を受ける(求職活動実績が必要)
▼ 市区町村役場関連
- [ ] 会社の健康保険からの脱退手続き
- [ ] 「国民健康保険」への加入手続き
- [ ] 【最重要】国民健康保険料の「減免申請」を行う(雇用保険受給資格者証が必要)
- [ ] 「国民年金」への加入手続き
▼ 税金関連
- [ ] 翌年に支払う「住民税」のためのお金を準備しておく
正しい知識を身につけ、計画的に手続きを進めること。それが、退職後の不安な時期を乗り越え、穏やかな気持ちで次のキャリアへと進むための、何よりの力になります。この記事が、あなたの新しい一歩を支える助けとなれば幸いです。
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