「面接で退職理由をどう伝えればいいんだろう…」
「本当の理由は人間関係だけど、正直には言えないし…」
転職活動中の看護師さんにとって、面接での退職理由の伝え方は、志望動機と並んで最も頭を悩ませる質問の一つではないでしょうか。
ネガティブな本音をそのまま伝えれば評価が下がりそうで不安。かといって、嘘で固めるのも無理がある。そんなジレンマを抱えている方も多いはずです。
ご安心ください。この記事を読めば、あなたの状況に合った、面接官に好印象を与える退職理由の伝え方が分かり、自信を持って面接に臨めるようになります。
この記事では、2025年最新の公的データや、多くの看護師の転職を成功に導いてきたキャリアアドバイザーの見解に基づき、信頼できる情報だけを提供します。よくあるネガティブな理由の言い換え方はもちろん、短期離職やブランクがある場合など、15の状況別に具体的な看護師の退職理由の例文を解説します。
あなたの看護師としての新たな一歩を、この記事が力強く後押しします。
この記事でわかること(2025年最新版)
- あなたの状況に合った「好印象な退職理由」の例文が見つかる
- 人間関係・給与など、ネガティブな本音のポジティブ変換術
- 短期離職やブランクなど、不利に思える状況の伝え方と例文
- 退職理由と志望動機をつなげ、一貫性のある自己PRを作る方法
そもそも面接官は退職理由の何を見ているのか?
なぜ面接官は、退職理由をこれほど重要視するのでしょうか。それは、あなたの回答から「長く、意欲的に、問題なく働いてくれる人材か」を見極めようとしているからです。具体的には、以下の4つのポイントをチェックしています。
評価ポイント1:早期離職しないか(ストレス耐性・定着性)
面接官が最も恐れるのは、採用した人材がまたすぐに辞めてしまうことです。
前職と同じような理由で退職する可能性はないか、ストレス耐性は十分か、といった「定着性」を退職理由から判断しています。
評価ポイント2:当院で同じ不満を抱かないか(再現性の確認)
例えば「残業が多すぎて辞めた」という理由を伝えた場合、もし応募先も同様に忙しい職場であれば、「この人も同じ不満を抱くのでは?」と懸念されます。
あなたの退職理由が、応募先の環境で解決できるものなのか、その再現性をシビアに見ています。
評価ポイント3:人柄や価値観は当院に合うか(カルチャーフィット)
退職理由は、あなたの仕事に対する価値観や人柄が色濃く反映される質問です。
「チームで協力するより、一人で黙々と作業したい」といった理由であれば、チーム医療を重視する病院とはミスマッチだと判断されるでしょう。組織の文化に合う人材か(カルチャーフィット)を見極めています。
評価ポイント4:他責にしないか(問題解決能力・当事者意識)
「上司が悪かった」「同僚が協力してくれなかった」など、退職理由を他人のせいにしてしまうと、「何か問題が起きた時に、周りのせいにする人だ」という印象を与えてしまいます。
困難な状況に対して、自分なりにどう考え、どう改善しようと行動したかという当事者意識や、ポジティブな問題解決能力があるかを評価しています。
もう迷わない!好印象な退職理由を作る3ステップ【ワークシート付】
説得力があり、かつ好印象を与える退職理由は、どう作ればよいのでしょうか。ここでは、誰でも自分だけの退職理由を作成できる、具体的な3つのステップを解説します。
ステップ1:まずは本音の退職理由を書き出す(自己分析)
最初に、なぜ本当に退職(転職)したいのか、本音の理由をすべて書き出してみましょう。
「人間関係が辛かった」「給料が安すぎる」「夜勤が体力的に限界」など、どんなネガティブな内容でも構いません。まずは自分自身の気持ちを正直に受け止めることがスタートです。
ステップ2:本音を「成長意欲」や「キャリアプラン」に変換する
次に、ステップ1で書き出した本音を、ポジティブな「未来への意欲」に変換します。
例えば、「人間関係が辛かった」という本音の裏には、「もっと円滑なコミュニケーションが取れる職場で、チームの一員として貢献したい」という願望が隠れているかもしれません。
「給料が安い」なら、「自分のスキルや経験を正当に評価してくれる環境で、より高いモチベーションを持って働きたい」と言い換えられます。
ステップ3:応募先の理念や特徴と結びつけ、志望動機との一貫性を持たせる
最後に、ステップ2で変換したポジティブな理由を、応募先の病院や施設の特徴と結びつけます。これが志望動機との一貫性を生み、あなたの主張に説得力を持たせます。
「チーム医療に力を入れている貴院でなら、私のコミュニケーション能力を活かして貢献できると考えました」
「高度な専門性を評価する制度がある貴院で、認定看護師としてキャリアアップを目指したいです」
このように、退職理由が「だから、ここで働きたい」という志望動機に自然につながることが理想です。(出典: HOP! ナース)
【ネガティブ理由別】本音をポジティブに変換する言い換え例文5選
ここでは、多くの看護師が抱える代表的なネガティブな退職理由を、好印象な表現に変換する具体的な例文を紹介します。
例文1:「人間関係」→「チーム医療への貢献意欲」
前職の人間関係に不満があったとしても、それを直接口にするのは絶対にNGです。
【OK例文】
「前職では、患者様や多職種のスタッフと協力して看護を提供する中で、より一層チームワークを重視する環境で働きたいという思いが強くなりました。貴院のホームページで、職種間の連携を密にするカンファレンスを定期的に開催されていると拝見し、私が目指すチーム医療を実践できると確信しております。」
例文2:「給与・待遇への不満」→「貢献が正当に評価される環境への挑戦」
給与への不満も、ストレートに伝えると「お金のことしか考えていない」と誤解されかねません。
【OK例文】
「5年間、循環器病棟で経験を積む中で、専門的な知識とスキルを磨いてまいりました。今後は、自身の専門性をさらに高め、その貢献が正当に評価される環境で、より高いレベルの看護に挑戦したいと考えております。貴院のキャリアラダー制度や研修制度に大変魅力を感じております。」(出典: クリニック経営改善ラボ)
例文3:「残業・多忙」→「患者と向き合う時間の確保」
「忙しすぎて辞めた」という理由は、「楽をしたいだけでは?」という印象を与えがちです。
【OK例文】
「前職は急性期の多忙な病棟で、多くの経験を積むことができ感謝しております。しかし、日々の業務に追われる中で、もう少し患者様一人ひとりとじっくり向き合い、個別性のあるケアを提供したいという思いが強くなりました。地域密着型で、患者様との長期的な関係性を大切にされている貴院でなら、私の理想とする看護が実現できると考えております。」
例文4:「体力的な問題」→「持続可能な働き方と貢献意欲」
体力的な問題を理由にする場合は、今後の業務への影響がないことを明確に伝える必要があります。
【OK例文】
「夜勤を含む不規則な勤務を続ける中で、自身の健康管理の重要性を改めて痛感しました。今後は、日勤を中心とした勤務形態で体調管理に万全を期し、これまでの臨床経験を活かして、長く安定して地域医療に貢献していきたいと考えております。」(出典: 看護のお仕事)
例文5:「病院の方針への不満」→「自身の看護観との一致」
方針への不満は、応募先の理念への共感という形で表現するのが賢明です。
【OK例文】
「前職で予防医療の重要性を実感する中で、治療だけでなく、患者様の健康教育や生活指導にも力を入れたいと考えるようになりました。『地域住民の健康寿命を延ばす』という貴院の理念に深く共感し、私の目指す看護を実践できると確信しております。」
【状況別の伝え方】面接でそのまま使える!退職理由の例文10選
ここでは、求職者が置かれがちな様々な状況別に、具体的で実践的な退職理由の例文を紹介します。
1年未満の短期離職
【例文】
「新卒で急性期病棟に配属されましたが、日々の業務に追われる中で、自身の知識・技術不足を痛感いたしました。事前の情報収集が不足していたという反省点もございます。この経験から、まずは教育制度が充実した環境で着実にスキルを身につけ、一人前の看護師として長く貢献したいと考えるようになりました。貴院の充実した新人研修制度やプリセプター制度に大変魅力を感じております。」(出典: かんご部)
クリニックから大規模病院へ
【例文】
「クリニックでの経験を通じて、プライマリケアの重要性を学ぶことができました。その中で、より高度な医療機器や設備が整った環境で、救急医療や周術期看護といった急性期医療の専門知識を深めたいという思いが強くなりました。貴院は地域の中核病院として多様な症例を扱っており、私のキャリアプランを実現する上で最適な環境だと考えております。」(出典: ナースステップ)
病院からクリニックへ
【例文】
「大規模病院の病棟で5年間勤務し、多くの患者様の入退院に関わってまいりました。その経験から、今後は患者様一人ひとりの生活背景にまで目を向け、より近い距離で継続的にサポートしていきたいと考えるようになりました。患者様とのコミュニケーションを大切にし、地域のかかりつけ医としての役割を担う貴院でなら、私の理想とする看護が実践できると感じております。」
訪問看護・介護施設への転職
【例文】
「病院で退院支援に関わる中で、在宅での療養生活を支える看護の重要性を強く感じるようになりました。患者様が住み慣れたご自宅で、その人らしい生活を送れるよう支援する訪問看護の仕事に大きな魅力を感じています。これまでの臨床経験を活かし、利用者様とそのご家族に寄り添う看護を提供したいです。」(出典: スマイルナース)
結婚・出産・育児との両立
【例文】
「出産を機に一度退職いたしましたが、子育てが一段落し、改めて看護師として社会に貢献したいという思いが強くなりました。育児との両立のため、日勤中心で勤務できる環境を希望しております。貴院は院内保育所が完備されており、子育て中の看護師が多く活躍されていると伺いました。これまでの経験を活かし、長く安定して貢献していきたいです。」(出典: 看護のお仕事)
ブランクからの復職
【例文】
「家族の介護のため3年間現場を離れておりましたが、状況が落ち着きましたので、看護師として復職したいと考えております。ブランクがあるため、最新の知識や技術を学び直す必要があると認識しております。貴院の復職支援セミナーや研修制度を活用させていただき、一日も早く戦力となれるよう努力する所存です。」(出典: カケハシ スカイソリューションズ)
未経験分野(例:美容、治験)への挑戦
【例文】
「病棟での看護経験を通じて、患者様のQOL(生活の質)向上に貢献することに大きなやりがいを感じてきました。今後は、治療だけでなく、美容という観点からお客様の自己実現をサポートする仕事に挑戦したいと考えております。貴院の『お客様の笑顔を創造する』という理念に共感し、新たな分野で貢献したいです。」
スキルアップ・資格取得のため
【例文】
「5年間、消化器外科病棟で勤務する中で、がん看護の専門性を高めたいという目標が明確になりました。がん化学療法看護認定看護師の資格取得を目指しており、資格取得支援制度が充実している貴院で、専門知識を深めながら貢献したいと考えております。」
転居など家庭の事情
【例文】
「配偶者の転勤に伴い、こちらに転居してまいりました。前職では〇〇科で3年間勤務し、リーダー業務も経験いたしました。新天地でも、これまでの経験を活かして地域医療に貢献したいと考えております。地域の中核病院である貴院で、即戦力として貢献できれば幸いです。」
閉院・事業縮小など会社都合
【例文】
「勤務していた病院が閉院することになり、転職活動を行っております。前職では〇〇科の立ち上げにも関わり、地域の患者様から信頼される医療を提供することにやりがいを感じておりました。貴院の『患者様第一』という理念に深く共感し、これまでの経験を活かして貢献したいと考えております。」
これはNG!面接で絶対に避けるべき退職理由と伝え方の注意点
良かれと思って伝えた内容が、かえってマイナス評価につながることもあります。ここでは、面接で避けるべきNGな退職理由と、その伝え方の注意点を解説します。
NG例1:前職の悪口や不満をそのまま話す
「上司と合わなかった」「同僚のレベルが低かった」など、前職への不満や悪口は絶対に避けましょう。
たとえ事実であっても、面接官には「他責思考の人」「協調性がない人」というネガティブな印象しか与えません。
NG例2:嘘や誇張がすぎる(深掘り質問で破綻する)
自分を良く見せたい一心で、事実と異なる嘘や大げさな表現を使うのは危険です。
経験豊富な面接官は、話の矛盾点を鋭く見抜きます。深掘り質問をされた際に答えに詰まってしまい、かえって信頼を失う結果になります。
NG例3:「勉強させてほしい」など受け身すぎる姿勢
「貴院で勉強させていただきたい」という表現は、一見すると意欲的に聞こえますが、受け身な姿勢と捉えられがちです。
病院は学校ではありません。あくまで「自分のスキルを活かして貢献する」というスタンスを基本とし、「貢献するために、さらに学びたい」という流れで伝えましょう。
NG例4:応募先の理念と全く関係ない理由
「給与が高いから」「家から近いから」といった条件面のみを理由に挙げるのは、仕事への意欲が低いと判断されるためNGです。
もちろん、それらが転職の重要な動機であることは事実です。その場合は、「〇〇という自身のキャリアプランを実現する上で、長く働き続けられる環境を重視しており、通勤のしやすさもその一つです」のように、あくまで貢献意欲を伝えた上での補足として、クッション的に触れるのが賢明な伝え方です。
看護師の退職理由に関するよくある質問
最後に、看護師の退職理由に関して、多くの人が抱く疑問にお答えします。
- QQ1. 嘘をついてもバレませんか?どこまで正直に話すべき?
- A
A1. 完全な嘘は避けるべきです。前述の通り、深掘り質問で矛盾が生じ、信頼を失うリスクが高いからです。
ただし、ネガティブな事実を100%正直に話す必要もありません。大切なのは「事実に基づきつつ、ポジティブな表現に変換する」ことです。本音(事実)を「未来への意欲」という視点で編集し、伝えるのがポイントです。
- QQ2. 退職理由について深掘り質問されたらどう答える?
- A
A2. 深掘り質問は、あなたの回答に一貫性と具体性があるかを確認するためのものです。ここで重要なのは、抽象的な言葉で終わらせず、具体的なエピソードに繋げることです。例えば「チーム医療に貢献したい」と答えた場合、「具体的に、前職でチーム医療に関して課題を感じた経験はありますか?」と質問される可能性があります。
その際は、「はい。急変対応の際に、多職種間での情報共有の速度に課題を感じ、カンファレンスでの共有方法を改善する提案をした経験があります。その結果、伝達ミスが減り、より迅速な対応が可能になりました。この経験から、職種間の連携が医療の質に直結すると改めて実感しました」といったように、自身の行動と結果、そして学びにまで言及できると、非常に説得力が増します。
- QQ3. 複数の退職理由がある場合、どれを伝えればいい?
- A
A3. 複数の理由がある場合は、すべてを話す必要はありません。最も応募先の理念や求める人物像に合致し、かつ自身のキャリアプランに沿ったポジティブな理由を一つか二つに絞って伝えましょう。話す内容を絞ることで、主張が明確になり、一貫性のあるメッセージを伝えられます。
- QQ4. 円満退職ではない場合、どう伝えればいい?
- A
A4. たとえ円満退職でなかったとしても、面接の場でその詳細を語る必要はありません。あくまで「自身のキャリアアップのため」「新たな分野に挑戦するため」といった、前向きな理由を主軸に据えて説明しましょう。過去の職場との関係性よりも、未来の職場でどう貢献したいかを語ることが重要です。
まとめ:好印象な【看護師の退職理由】例文を参考に、自信を持って転職を成功させよう
本記事では、看護師の転職面接における退職理由の伝え方について、具体的な例文を交えながら網羅的に解説しました。
本記事のポイント
- 面接官は退職理由から「定着性」「再現性」「人柄」「当事者意識」を見ている
- 好印象な退職理由は「自己分析」「ポジティブ変換」「志望動機との結合」の3ステップで作れる
- 「人間関係」や「給与」などのネガティブな本音も、伝え方次第で強力なアピール材料になる
- 「短期離職」や「ブランク」など、不利に思える状況にも効果的な伝え方がある
- 前職の悪口や受け身すぎる姿勢はNG
- 嘘は避け、事実をポジティブに編集して伝えるのが基本
- 深掘り質問を想定し、具体的なエピソードを準備しておくことが重要
退職理由は、あなたを評価するための「テスト」ではありません。あなたの仕事に対する価値観や、未来への意欲を伝えるための「チャンス」です。
この記事で紹介した例文やステップを参考に、ぜひあなた自身の言葉で、説得力のある退職理由を準備してください。
自信を持って面接に臨み、あなたが本当に輝ける次のステージへの扉を開くことを、心から応援しています。
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