うつ病や適応障害の診断書で特定理由離職者になる条件と失業保険の手続き

結論 KEY SUMMARY

うつ病や適応障害で退職した場合、医師の診断書や「主治医の意見書」を提出して認められれば、会社都合ではなく『特定理由離職者(コード33・34)』に認定されます。通常の自己都合にある給付制限(原則1ヶ月)が免除され、7日間の待期後に失業保険が支給され、国民健康保険料の軽減も受けられます。「すぐ働ける場合の就労可能証明」と「療養する場合の受給期間延長(最大4年)」を状況に合わせて正しく選びましょう。

男性 男性

うつ病の診断書を出せば、自己都合退職でも会社都合と同じようにすぐ失業保険をもらえますか?

管理人・ケータ 管理人・ケータ

病気退職は「特定理由離職者」となり、給付制限なし・国保軽減など会社都合と同等の優遇が受けられます。ただし「今すぐ別環境で働けるか」で申請手順が分かれます。

職場のストレスや過重労働で限界を迎え、退職後の生活費に不安を抱える方は少なくありません。SE時代に体調を崩した経験とキャリアコンサルタント友人Mの知見から、診断書による認定のポイントを解説します。

2026年10月時点の厚生労働省・ハローワーク公式基準に基づき、特定理由離職者の認定条件、一般自己都合との違い、受給手続きをわかりやすくまとめました。

この記事でわかること

  • うつ病の診断書で認定される「特定理由離職者(コード33・34)」の条件
  • 一般自己都合・特定理由離職者・会社都合の給付制限・日数・国保軽減の比較
  • 雇用保険の加入期間が「通算6ヶ月以上」に緩和される要件
  • すぐ働ける場合の「主治医意見書」取得と7日待期後の受給手順
  • 療養に専念する場合の「受給期間延長申請(最大4年)」のやり方

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仕事、もう辞めたい…でも、これって甘えなのかな…? 仕事が限界だと感じているのに、あと一歩が踏み出せない。そんな風に悩んでいませんか?「自分が弱いだけだ」と責任を感じ、誰にも相談できずにいる…

目次

うつ病や適応障害の診断書で会社都合退職扱い(特定理由離職者)になる条件と優遇比較

離職区分3つの違いと優遇内容
男性 男性

ネットや口コミで「診断書を出せば会社都合になる」と見かけたのですが、離職票の区分はどう変わるのでしょうか?また、会社都合とまったく同じ条件で失業保険をもらえるのですか?

管理人・ケータ 管理人・ケータ

ハローワークの正式名称では、病気やケガで仕事を続けられなくなった人は「特定理由離職者(離職区分3C・3D/コード33・34)」と呼ばれます。給付制限がなくなる点や国保が安くなる点は会社都合と同じですが、「所定給付日数(もらえる日数)」のルールに違いがあるため注意が必要ですよ。

まずは整理すると、雇用保険の基本手当(失業保険)における離職区分は大きく「一般の離職者(通常の自己都合)」「特定理由離職者(病気や雇止めなどやむを得ない理由)」「特定受給資格者(倒産・解雇・違法残業などの会社都合)」の3つに分かれています(出典: ハローワークインターネットサービス 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要)。それぞれの違いを正確な一次情報で確認しましょう。

厳密には「会社都合(特定受給資格者)」ではなく「特定理由離職者(離職理由コード33・34)」になる仕組み

疾病による退職は「正当な理由のある自己都合(コード33・34)」として審査される
ハローワークの公式基準では、特定理由離職者の範囲「2. 正当な理由のある自己都合」の(1)として、以下のように定めています(出典: ハローワーク 特定理由離職者の範囲、厚生労働省 離職理由コード一覧)。

体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者 出典:ハローワークインターネットサービス 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

つまり、うつ病や適応障害という病名そのもので自動判定されるのではなく、【「その疾病が原因で離職前の業務を続けることが困難になり退職した」という事実が医師の診断書・意見書によって確認できた場合】に、特定理由離職者として認定される仕組みとなっています。

なお、雇用保険受給資格者証に記載される離職理由コード「33(離職票区分3C)」と「34(離職票区分3D)」は病気の重さの違いではありません。通常の被保険者期間(離職前2年間に12ヶ月以上)を満たしている人が「コード33」、12ヶ月未満でも特定理由離職者の緩和要件(離職前1年間に6ヶ月以上)で受給資格を得る人が「コード34」という区分です。

一般の自己都合・病気による特定理由離職者・会社都合退職の3区分で比較する失業保険と国保軽減の差

特定理由離職者(33・34)4つの要点

病気による特定理由離職者(コード33・34)は「給付制限免除」になるが、所定給付日数は原則90〜150日
よく「特定理由離職者になれば誰でも会社都合と同じく最大330日もらえる」と誤解されがちですが、厚生労働省の基準では、所定給付日数が90〜330日に増える暫定特例(2027年3月31日まで)の対象は「有期雇用契約の雇止め(特定理由離職者1)」に限られています(出典: ハローワーク 基本手当の所定給付日数)。

病気による特定理由離職者(特定理由離職者2)と、一般の自己都合、および特定受給資格者(会社都合)の3つの違いを比較表で整理しました。

比較項目一般の離職者(通常の自己都合)病気による特定理由離職者(コード33・34)特定受給資格者(会社都合・解雇・労災等)
離職理由コード(区分)コード40(区分4D)などコード33(3C)・コード34(3D)コード11〜25(1A・1B・2A〜2E)
受給に必要な被保険者期間離職前2年間に通算12ヶ月以上離職前1年間に通算6ヶ月以上に緩和離職前1年間に通算6ヶ月以上
7日間の待期期間あり(全員共通で7日間)あり(全員共通で7日間)あり(全員共通で7日間)
自己都合の給付制限期間原則1ヶ月(2025年4月以降退職)なし(待期7日満了後から支給対象)なし(待期7日満了後から支給対象)
所定給付日数(一般区分)90日〜150日(加入期間による)原則90日〜150日(※就職困難者は150〜360日)90日〜330日(年齢と加入期間による)
国民健康保険料の軽減対象外(原則全額自己負担)対象(前年給与所得を30/100として算定)対象(前年給与所得を30/100として算定)

表のとおり、病気による特定理由離職者(コード33・34)に認定される最大のメリットは、①通常の自己都合退職にかかる給付制限(2025年4月以降の退職では原則1ヶ月)が免除され、7日間の待期期間が終わった翌日から支給対象になること、②離職前1年間に通算6ヶ月以上の加入期間があれば受給できること、そして③市区町村の窓口で申請すれば国民健康保険料が大幅に軽減(前年の給与所得を100分の30とみなして計算)されることの3点です。

実際にX(旧Twitter)上の退職体験談9件を独自に調査・分析したところ、離職票が自己都合であっても診断書をハローワークへ提出したことで特定理由離職者(さらに要件を満たす場合は就職困難者)として認められ、7日間の待期のみで受給できたという報告が複数確認できました。

特定理由離職者の件、ハローワークでもらった診断書に医師が「うつ病」と書いてくれたので、先日、早速ハローワーク窓口に持って行きました。(中略)給付日数が、私の場合360日になるようです。待機も、最初の7日間だけとなるのでなんとか生活はしていくことができそうです。 出典:X(旧Twitter)@rieo_net さんの投稿

独自見解・結論(Verdict)
この体験談のように、会社から届いた離職票が「自己都合」になっていても、ハローワーク窓口で医師の書類を添えて申し出ることで、給付制限なし(待期7日のみ)+国民健康保険の軽減対象へ変更できるケースは多くあります。なお、この投稿者様のように給付日数が「360日」になるのは、うつ病等の診断により特定理由離職者だけでなく『就職困難者』の要件にも該当するとハローワークが判定した場合の特例日数です(就職困難者への切り替え条件は後半のセクションで詳しく解説します)。

雇用保険の被保険者期間が「離職前1年間に通算6ヶ月以上」へ緩和される条件と注意点

入社半年〜1年未満で体調を崩して退職した場合でも「通算6ヶ月以上」あれば受給資格を得られる
通常の自己都合退職では、退職日以前の2年間に雇用保険の被保険者期間が「通算して12ヶ月以上」なければ基本手当を1円も受け取ることができません。しかし、うつ病や適応障害により【特定理由離職者(コード34・区分3D)と認定されれば、この条件が「離職日以前の1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上」へと緩和】されます(出典: 厚生労働省 雇用保険に関するQ&A)。

ただし注意点として、ここでいう「被保険者期間1ヶ月」とは単なるカレンダー上の在籍月数ではなく、「賃金支払基礎日数(出勤日や有給休暇を使った日)が11日以上ある月、または労働時間が80時間以上ある月」を1ヶ月として数えるルールです。もし退職前に病気で長期欠勤(無給休職)していた期間がある場合は、その休職期間を除いた前後の期間で6ヶ月(または12ヶ月)を満たしているかを離職票-2で確認しておきましょう。

合わせて読みたい
※会社都合退職や特定理由離職者で受け取れる失業保険の金額シミュレーションと国民健康保険の軽減手続きはこちら。
→ 会社都合退職でもらえるお金全まとめ|失業保険はいくら?退職金・税金・健康保険の減免まで

https://taisyoku-riyu.com/%e4%bc%9a%e7%a4%be%e9%83%bd%e5%90%88%e9%80%80%e8%81%b7%e3%81%a7%e3%82%82%e3%82%89%e3%81%88%e3%82%8b%e3%81%8a%e9%87%91%e5%85%a8%e3%81%be%e3%81%a8%e3%82%81%ef%bd%9c%e5%a4%b1%e6%a5%ad%e4%bf%9d%e9%99%ba/

すぐ働ける場合の主治医意見書と療養に専念する場合の受給期間延長申請の使い分け手順

退職時の体調で分かれる2つの手続き
男性 男性

うつ病の診断書を持ってハローワークへ行けば、体調が悪くて寝込んでいてもすぐに失業保険を振り込んでもらえるのでしょうか?

管理人・ケータ 管理人・ケータ

いいえ、ここが一番つまずきやすいポイントです。雇用保険の基本手当は「現在、働ける状態にある人」に支給される制度なので、退職後も働けない状態ならまずは『受給期間の延長申請』を行い、逆に「前の職場は無理だったけれど別の環境ならすぐ働ける」という場合は『主治医の意見書(就労可能証明書)』を出して受給を開始します。

ハローワークの手続きで失敗しないための最大の鉄則は、【「退職理由の証明(前の仕事を辞めざるを得なかったこと)」と「現在の就労可否(今すぐ週20時間以上働けるか)」の2つを明確に分けて整理】することです(出典: 厚生労働省 雇用保険Q&A Q12・Q15、静岡労働局・ハローワーク浜松 就労可能証明書様式)。それぞれの場面で必要になる医師の書類と手順を見ていきましょう。

「退職理由の証明」と「現在働ける証明(就労可能証明書)」の違いと退職前に診断書を取るべき理由

退職後に初めて病院へ行くと「在職中の病状」が証明できず特定理由離職者にならないリスクがある
うつ病や適応障害で特定理由離職者の認定を受けるには、「退職日よりも前(在職中)からその病気が原因で勤務継続が困難だったこと」を客観的に示す必要があります。もし退職したあとに初めてメンタルクリニックを受診した場合、医師は「在職中に業務継続が困難だったかどうか」を診察していないため証明できず、通常の自己都合退職(コード40)として扱われる可能性が高いでしょう。

手続きの場面ごとに、医師の書類で確認される内容は以下のとおり異なる点に注意してください。

手続きの場面・タイミング医師の書類で主に確認される内容使用する主な書類・様式
① 退職前・退職時(在職中)離職時点の病名・症状、および「現在の職場での業務継続が困難である」旨クリニック発行の診断書(コピーを手元に必ず保管する)
② 退職後すぐ受給する場合「前職の継続は困難だったが、現在は環境を変えれば週20時間以上の就労が可能」な旨ハローワーク指定の就労可能証明書(主治医の意見書・病状証明書)
③ 退職後に療養を続ける場合「疾病により引き続き30日以上職業に就くことができない状態である」旨受給期間延長申請書 + 医師の診断書や傷病手当金支給申請書の写し等
④ 療養から回復して受給開始時「働けない理由(症状)が軽快し、いつから就労可能となったか」の証明受給期間延長通知書 + ハローワーク指定の就労可能証明書

実際にX上でも、「一般的な診断書だけを持っていったら『病状証明書(ハローワーク指定用紙)が必要』と言われて何度も足を運ぶことになった」という注意喚起の声が上がっています。

適応障害で退職したため特定理由離職者になった。(中略)・病状証明書が必要(診断書じゃない)・認定日は必ずハローワーク・書類が1つ欠けるとやり直し自分は3回ハローワークに行く羽目に。“特定理由”は「条件付き優遇」だった。 出典:X(旧Twitter)@Taisyokusitayo さんの投稿

独自見解・結論(Verdict)
この方が指摘しているとおり、病院独自の書式で書かれた「うつ病につき3ヶ月の休養を要する」という診断書だけをハローワークへ持参すると、窓口からは「今は休養が必要で働けない状態ですね」と判断され、その場では基本手当の受給手続きができません。二度手間を防ぐには、在職中に取得した診断書(退職理由の証拠)を手元に保管したうえで、退職後にハローワークで専用用紙(就労可能証明書・病状証明書)を受け取り、主治医に「前職の継続は困難だったが現在は就労可能」と記入してもらう流れが最もスムーズです。

別環境ならすぐ働ける人がハローワーク指定の主治医意見書(病状証明書)で7日待期後に受給する3ステップ

「前の職場がストレス原因で退職したが、環境が変われば週20時間以上働ける」ならすぐ受給手続きへ進む
適応障害などで「原因となっていた前の職場から離れたことで症状が落ち着き、別の職場や残業の少ない条件ならすぐに働ける」と主治医が判断した場合は、以下の3ステップで手続きを進めていきましょう(出典: ハローワーク 雇用保険の具体的な手続き)。

  1. 在職中に主治医へ相談し診断書を取得・保管する:退職を決める前後に心療内科・精神科を受診し、体調不良により現在の業務継続が難しい旨の診断書を発行してもらいましょう(会社へ原本を提出する場合は、必ず提出前にスマホ撮影またはコピーを取って手元に残してください)。
  2. 離職票が届いたら管轄ハローワークへ行き「指定の意見書用紙」を受け取る:窓口で「うつ病(適応障害)のため前職の継続が困難で退職しましたが、現在は別環境なら働ける状態です」と伝え、ハローワーク指定の『就労可能証明書(主治医の意見書・病状証明書)』を受け取ります。
  3. 主治医に就労可能証明書を記入してもらいハローワークへ提出する:用紙にある「離職前の業務継続が困難であったか(困難であったに丸)」と「現在週20時間以上の就労が可能か(可能に丸・残業制限等の条件記載可)」を主治医に記入してもらい提出すれば、特定理由離職者(コード33・34)として7日間の待期満了後から支給対象となる仕組みです。

なお、「7日間の待期後すぐ支給」とは、7日後に現金が振り込まれるという意味ではなく、「待期満了の翌日から1日あたりの基本手当がカウントされ始め、約3〜4週間後の初回失業認定日から約5営業日後(約1週間後)に最初の振込が行われる」というスケジュールになります。

主治医意見書で受給する3ステップ

30日以上働けない人が「受給期間延長申請(最大4年)」を行い回復後に失業保険を受け取る手順

退職後も療養が必要な場合は、無理に求職活動せず「受給期間延長(最大4年)」で受給権を温存する
退職した時点でまだ症状が重く、主治医からも「まだ求職活動は控え、まずは休養に専念しましょう」と言われている場合は、無理に失業保険を受給しようとするのは控えたほうが安心です。雇用保険の基本手当には「離職日の翌日から原則1年間」という受給期限がありますが、病気やケガで引き続き30日以上働けない場合は『受給期間延長申請』を行うことで、【最大3年間(原則の1年間と合わせて合計最大4年間)まで受給期限を後ろに延ばす】ことができます(出典: 厚生労働省 雇用保険Q&A Q15〜Q17)。

退職後の経過フェーズ行うべき手続き・活用する制度提出書類と実務上の注意点
フェーズ1:退職後30日経過後〜療養中ハローワークへ「受給期間延長申請」を行う(在職中から条件を満たせば健康保険の傷病手当金を受給)離職票-2、受給期間延長申請書、働けないことを証明する診断書等(郵送・代理人申請も可)
フェーズ2:治療・休養による回復期主治医と相談し、週20時間以上の継続就労が可能な状態まで体調を整える延長期間中(最大4年以内)は失業認定日でハローワークへ通う必要はない
フェーズ3:就労可能になった時点ハローワークで「延長解除」と「特定理由離職者」の受給手続きを行う受給期間延長通知書、離職票-1・2、主治医が記入した就労可能証明書を持参

このように、退職後しばらく療養に専念する場合は「療養中は健康保険の傷病手当金(最長1年6ヶ月)で生活費を支えつつハローワークには受給期間延長を申請しておき、体調が回復して働けるようになってから延長を解除して失業保険(基本手当)を給付制限なしで受給する」というリレー活用が王道の手順となります。

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業務上のパワハラや長時間労働・就職困難者区分で所定給付日数が増える条件と窓口申請書類

所定給付日数が増えるケースの比較
男性 男性

病気による特定理由離職者だと給付日数は90〜150日のままとのことでしたが、Xの口コミで「300日や360日もらえた」という人がいるのはなぜですか?

管理人・ケータ 管理人・ケータ

給付日数が大幅に増えるケースには2つのルートがあります。1つは主治医の意見書や障害者手帳によって『就職困難者(150〜360日)』と認定されるルート、もう1つは残業時間やパワハラの証拠を出して『特定受給資格者(会社都合:90〜330日)』へ切り替えるルートです。

単なる「病気による特定理由離職者(コード33)」のままでは所定給付日数は原則90〜150日ですが、状況によっては日数が2倍以上に増える特例区分に該当する可能性があります(出典: ハローワーク 基本手当の所定給付日数)。それぞれの要件と窓口での申請手順を確認しましょう。

病気の特定理由離職者(90〜150日)から「就職困難者(150〜360日)」または「特定受給資格者(90〜330日)」になる要件

継続的な通院治療が必要な「就職困難者」や、過重労働・ハラスメント原因の「特定受給資格者」は日数が増える
所定給付日数が増える2つの特例区分と、通常の病気退職(特定理由離職者)との違いを以下の表にまとめました。

認定区分所定給付日数(65歳未満)認定されるための主な要件・対象者窓口へ提出する主な確認資料
① 病気による特定理由離職者(コード33・34)90日〜150日(10年未満90日・10〜20年120日・20年以上150日)疾病・負傷により離職前の業務継続が困難となって退職し、現在は就労可能な人離職時の診断書 + ハローワーク指定の就労可能証明書(主治医意見書)
② 就職困難者(障害者等の特例区分)150日〜360日(1年未満150日 / 1年以上:45歳未満300日・45歳以上360日)精神障害者保健福祉手帳を持つ人、またはうつ病・統合失調症・てんかん等で継続治療を要し就職が困難と判定された人精神障害者保健福祉手帳、またはハローワーク指定の主治医意見書(継続治療・配慮事項の記載)
③ 特定受給資格者(会社都合退職・コード11〜25)90日〜330日(年齢と加入期間に応じて最大330日)離職直前6ヶ月のうち月45時間超の残業が3ヶ月連続(または1ヶ月100時間超)、または職場のパワハラ・セクハラが直接原因で退職した人タイムカード・PCログイン記録・給与明細(残業証拠)、録音・メール・受診記録(ハラスメント証拠)

特に知っておきたいのが「② 就職困難者」と「③ 特定受給資格者」の仕組みです。まず就職困難者については、精神障害者保健福祉手帳(申請中を含む)を持っている場合のほか、管轄ハローワークによっては主治医の意見書で「うつ病等により今後も継続的な通院・服薬治療が必要で就労に一定の制限・配慮を要する(ただし週20時間以上の就労は可能)」と確認できた場合に、被保険者期間1年以上なら45歳未満で300日、45歳以上で360日の給付日数が適用されるケースがあります。

また、うつ病や適応障害を発症した原因が「月45時間を超える時間外労働(3ヶ月以上連続)」や「上司からのパワーハラスメント・いじめ」である場合は、診断書に加えて残業記録やハラスメントの証拠をハローワークへ提出することで、特定理由離職者ではなく『特定受給資格者(会社都合退職)』として認定される可能性があるでしょう。

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離職票が「自己都合」になっていてもハローワーク窓口で異議申立てを行う際の必須書類4点と伝え方

離職票の判定権は会社ではなくハローワークにあるため、窓口で落ち着いて事実と書類を提示する
会社から届いた「雇用保険被保険者離職票-2」の離職理由欄に「一身上の都合(自己都合)」とチェックがついていても、諦める必要はまったくありません。【離職理由の最終的な決定権は会社ではなくハローワークにある】からです(出典: 厚生労働省 雇用保険Q&A Q9)。

ハローワークの窓口へ行く際は、以下の4つの必須書類を揃えて持参し、離職票-2の右下にある「具体的事情記載欄(離職者用)」および「異議の有無(有り)」に記入して申し出ましょう。

ハローワーク手続き4つの必須書類
  • ① 雇用保険被保険者離職票-1・2:会社から郵送されてきた原本一式(離職票-2の異議欄は窓口で職員に相談しながら記入しても構いません)。
  • ② 医師の診断書・主治医意見書(就労可能証明書):在職中に発行された診断書の写しと、ハローワーク指定の主治医意見書(初回相談時に用紙をもらい後日提出でも可)。
  • ③ マイナンバーカード(または通知カード+運転免許証と顔写真2枚):マイナンバーカードを持参すれば本人確認と番号確認が1枚で済み、縦3.0cm×横2.4cmの顔写真2枚も省略できます。
  • ④ 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード:基本手当の振込先口座を登録するために提示します(ネット銀行等の場合は口座番号・支店名が確認できる画面やキャッシュカードを用意してください)。

窓口で相談する際は、感情的に会社の不満を訴えるよりも、「在職中にうつ病(適応障害)と診断され業務継続が困難になり退職したこと」と「現在は別環境なら働ける状態(またはまだ療養が必要な状態)であること」の2点を簡潔に伝えるのが、審査をスムーズに進めるコツですよ。

まとめ:うつ病の診断書で会社都合退職と同等の特定理由離職者申請を行い失業保険を活用しよう

在職中の診断書確保と「現在の体調に合った手続き選択」で、生活資金と心身の回復を両立しよう
うつ病や適応障害の診断書を活用して、会社都合退職と同等の優遇(特定理由離職者)を受けるための重要ポイントをまとめました。

手続きの重要ポイント押さえておくべき基準・ルールあなたがとるべき具体アクション
① 認定区分と優遇内容病気による退職は特定理由離職者(コード33・34)となり、給付制限なし(待期7日後)+国保軽減が適用離職票が自己都合でも諦めず、在職中の診断書コピーを手元に残してハローワークへ相談する
② 体調別の2つのルート別環境ですぐ働けるなら主治医意見書(就労可能証明)、30日以上休むなら受給期間延長(最大4年)無理に求職活動をして症状を悪化させず、療養が必要な間は傷病手当金+受給期間延長を選ぶ
③ 給付日数が増える特例一般の病気退職は90〜150日だが、就職困難者(150〜360日)や残業・パワハラ立証(90〜330日)で増加手帳や継続通院がある場合は就職困難者区分を、月45時間超残業やパワハラがある場合は証拠を提出する

もし今、強いストレスや気分の落ち込み、不眠などで「会社へ行くのがつらい」「誰にも相談できない」と苦しんでいる方は、一人で抱え込まずにまず心療内科・精神科を受診するか、以下の厚生労働省の公的相談窓口(無料・秘密厳守)へ連絡してみてください。心身の安全と生活を守る制度を正しく頼りながら、ご自身のペースで一歩ずつ整えていきましょう。

  • 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」相談窓口(厚生労働省):電話 0120-565-455(月・火 17:00〜22:00/土・日 10:00〜16:00、SNS・メール相談あり/出典: 厚生労働省 こころの耳)
  • よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター):電話 0120-279-338(24時間対応・通話料無料)

よくある質問

会社には「一身上の都合(自己都合)」として退職届を出してしまったのですが、後からハローワークにうつ病の診断書を出せば特定理由離職者になれますか?

はい、会社へ提出した退職届が「一身上の都合」であっても、在職中からうつ病や適応障害により業務継続が困難だった事実を診断書やハローワーク指定の主治医意見書(就労可能証明書)で証明できれば、ハローワークの審査によって特定理由離職者(コード33・34)へ変更してもらうことが可能です。離職票-2の異議申立て欄で「異議あり」として窓口へ相談してみましょう。

退職後に心療内科・精神科を初めて受診して診断書をもらった場合でも、特定理由離職者として認められますか?

退職日よりも後に初めて受診した場合、「在職中に疾病が原因で業務継続が困難だったこと」を医師が医学的に証明することが難しいため、原則として特定理由離職者として認められにくくなります。これから退職する場合は、必ず在職中(退職日前)に一度でも受診してカルテ記録や診断書を残しておくことが重要です。

ハローワークにうつ病の診断書を提出して特定理由離職者に変更すると、前の会社に連絡がいってトラブルになりませんか?

ハローワークが離職理由を確認するため事業主に事実確認を行うことはありますが、疾病による正当な理由の自己都合(特定理由離職者コード33・34)は、不当解雇などの「特定受給資格者(会社都合)」とは異なり会社側の雇用調整助成金などが制限されるペナルティが原則としてないため、会社側と大きなトラブルになるケースは少ないといえます。

傷病手当金を受給しながら同時にハローワークで失業保険(基本手当)を受け取ることはできますか?

いいえ、健康保険の「傷病手当金(働けない状態の補償)」と雇用保険の「基本手当(働ける状態の求職支援)」は条件が正反対であるため、同じ期間に両方を受け取ることはできません。退職後に療養が必要な方は、まずハローワークで「受給期間延長申請(最大4年)」を行って傷病手当金を受給し、回復して働けるようになってから失業保険を受給するのが基本ルールです。

うつ病の診断書を出して特定理由離職者になると、次の転職活動で応募先企業に病歴や退職理由がバレることはありますか?

いいえ、雇用保険受給資格者証は本人が保管する書類であり、転職先の企業へ提出する義務はありません。また、入社時に会社へ提出する「雇用保険被保険者証」には離職理由コード(33など)や病名は一切記載されないため、ハローワークの手続きを通じて応募先企業にうつ病や特定理由離職者であることが知られる心配はないでしょう。


本記事に掲載している雇用保険(特定理由離職者・特定受給資格者・就職困難者・受給期間延長)、国民健康保険の軽減措置、および傷病手当金に関する解説は、2026年10月時点の厚生労働省・ハローワークインターネットサービスの公式基準に基づき一般的な制度概要を整理したものです。離職理由の認定や必要書類(就労可能証明書等の様式)は個別の事情および管轄ハローワークの審査により異なるため、具体的な申請手続きは住所地を管轄するハローワーク窓口へご確認ください。また、心身の不調に関する記述は医師の診断に代わるものではありませんので、症状がある場合は速やかに医療機関を受診してください。