退職代行って法的問題はないの?【違法か心配なら弁護士事務所を利用がベスト】

①退職代行は法的問題って本当?

結論から言わせてもらうと、退職代行サービス自体の違法性は低いといえます。

理由としては、退職代行業者が行うサービスは基本的に「依頼者の意思を代わりに会社側に伝える」という行為だけだからです。これはあくまで依頼者の伝言役にすぎないため、法律的には何の問題もないのです。

例えば、依頼者が「~だから○○日に辞めたい」と言っていて、それを代行業者が会社に電話をして「~さんが○○日で退職したいということです」と連絡する。これは伝言役というこで問題ありません。

しかし、業者側が「~さんが○○日で退職したいということです」ということにに対して会社側が「○○日だと困るので○○日にしてくれ」と言われて業者が「どうしても○○日にしてほしいのですがダメですか?」というように会社側に対して交渉してしまう行為は実は法律違反になります。

この例だけ見るとわかりにくいと思いますが、簡単に言うと業者が会社と交渉や契約に関しての話し合いしてしまうと違法、意思を伝えるだけなら合法ということです。

なので、有名どころの退職代行業者はこの伝達役を主な業務としているので法律的にも問題なく、実際に退職代行業者が行うサービス自体が訴えられたり罰則を受けたという例はありません。ただし、一部の悪質な退職代行業者はこの境目を超えてしまう行為をしていることも考えられるので、利用する場合はしっかりとした実績のある業者を選ぶようにしましょう。

②退職代行は法律違反だと言われている理由は?

そもそも、ネットや世間でささやかれている「退職代行業者は違法だ!」という発言はどのような理由から言われているのでしょう?それは「弁護士法第72条」にある「非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止」の項目に該当すると言っているのです。

弁護士法第72条では

第七十二条弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

引用元:弁護士法第72条

と記述されています。これは要約すると「弁護士じゃない人」「報酬を得る目的」「法律業務を取り扱う」の条件を満たしてしまうと違反ということです。

つまり、退職代行業者は「弁護士ではない」「お金を貰っている」「依頼人の雇用契約を終了させている」という理由から違法だと言われているのです。

しかし、上記でも説明したように実際に退職代行業者が罰則を受けた事例はありません。
また日本弁護士連盟も退職代行サービスについては特に発言していない点からも今のところは違法性は低いと考えられます。

そんなの屁理屈だと思う人や、どう考えても代わりの人に退職を伝えてもらうのはマナー違反と思う人もいると思ますが、一方で退職代行サービスが「過酷な環境に苦しむ労働者の救世主」「過労死を未然に防げるのでは?」という肯定的な意見も多いという事実もあります。

退職代行サービスは今のところ違法性に当たる可能性は低く、利用しても問題ないといえます。しかし、代行を使えば簡単に辞められるという考えはあまり持たないほうがいいでしょう。労働環境が過酷でやめないと体がもたないや意思を伝えても辞められないような方は利用するメリットもありますが、そうでない人が気軽に利用してしまうと仕事や会社を軽視する考えが身についてしまう恐れがあります。

③退職代行のどこまでが合法でどこからが違反なの?

上記①、②の話で退職代行サービスは今のところ違法ではないというこは説明しましたが、ある一線を越えてしまうと違法行為になってしまいます。ではどこからが違法なのでしょうか?

いくつか例を上げて見ていきましょう。

例1:退職代行業者が電話で会社に本人の退職意思を伝える→本人が退職届を郵便で送る。→退職完了

:本人の書いた退職届が結果的に雇用契約の終了につながっているのでこれは問題ありません。

例2:退職代行業者が電話で会社に本人の退職意思を伝える→退職を完了

:これは退職代行業者が雇用契約を終了させてしまっているため違法となります。

例3:退職代行業者が有給休暇を消化することを本人に代わって伝える

:本人に代わって伝えてるだけなので問題ありません。しかし会社側が拒否して、それに対して代行業者が抗議したりすると契約交渉となり違法となります。

例4:代行業者が未払いの残業代を請求する

:法律に関する請求のため違法に当たります

例5:依頼者が聞きいてほしいと言った退職の流れや必要書類を聞いて依頼者に伝える

:伝言役と考えられるので違法にはならない

これらの例を見て分かると思いますが、退職代行業者は基本的に伝えるだけで会社側に対して抗議も話し合いもすることができません。退職の際に残業代を請求したり有給の話し合いをしたい場合は料金が高くても弁護士に依頼するのがいいでしょう。弁護士なら法的な交渉も書類の作成もしてもらえますし、退職後に損害賠償請求されても対応することができます。

退職代行を利用しようと考えている人は、自分の状況を良く考慮して価格が安いがリスクのある退職代行業者を選ぶか価格は高いが確実・安心な弁護士を選ぶかをしっかり考える必要があるでしょう。

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